在留資格諸申請において許可・不許可の判断が行なわれる際に考慮される事項について解説します。

在留資格申請

入管への申請において考慮される事項

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在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請においては、法務大臣が変更や更新が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可されることとなっています。この判断については、法務大臣の自由な裁量に委ねられており、外国人が行おうとする活動活動の状況在留の必要性等を総合的に勘案して行われます。判断に当たっては、在留資格該当性、上陸基準適合性はもちろんのこと、その他にも次の1~4に関する事項についても考慮されることとなります。

  1. 入管法に定める届出義務の履行に関するもの
  2. 納税義務のほか公的義務の履行に関するもの
  3. 素行が不良でないこと
  4. 外国人のこれまでの在留活動の状況、在留の必要性等に関すること

入管法に定める届出義務の履行に関するもの

在留カードの記載事項に関する届出や所属機関等に関する届出など、入管庁に対する届出義務を履行していることが必要です。特に、所属機関等に関する届出を行っていないケースが多く見受けられますので、特定技能所属機関においても、1号特定技能外国人支援計画の実施の際、特定技能外国人にこれらの義務があることについて十分に理解させることが求められます。

納税義務など公的義務の履行に関するもの

納税義務がある場合には、当該義務を履行していることが求められ、納税義務を履行していない場合には、消極的な要素として評価されることとなります。例えば、納税義務不履行により刑に処せられている場合のみならず、納税義務を履行していないことが判明し、納税義務を履行するよう助言・指導されたにもかかわらず、引き続き納税義務を履行していない場合(ただし、納税緩和措置(換価の猶予、納税の猶予又は納付受託)の適用を受けている場合を除く。)には消極的な要素として評価されることとなります。

社会保険についても、特定技能外国人が国民健康保険や国民年金に加入している又は加入していた場合は、国民健康保険や国民年金の保険料を納付していることが求められ、保険料を一定程度納付していない場合には消極的な要素として評価されることとなります。例えば、特定技能外国人が国民健康保険や国民年金の保険料を一定程度滞納していることが判明し、保険料を納付するよう助言・指導があったにもかかわらず、引き続き国民健康保険や国民年金の保険料を納付していない場合(ただし、国民健康保険料(税)の納付(税)緩和措置(換価の猶予,納付の猶予又は納付受託)又は国民年金保険料の免除制度の適用を受けている場合を除く。)には消極的な要素として評価されることとなります。

日本に在留する留学生等の外国人を特定技能外国人として雇用する場合には、納税義務社会保険料納付義務が履行されていないと、在留資格変更許可申請の審査に時間を要するほか、許可がされないこととなりますので、採用予定者がこれらの公的義務を履行しているかをあらかじめ確認してください。また、雇入時の労働条件の明示や1号特定技能外国人支援計画の実施に当たっては、納税義務や社会保険料の納付義務の履行について、特定技能外国人に十分に理解させることが求められます。

素行が不良でないこと

素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価され、具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受ける行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。

外国人のこれまでの在留活動の状況、在留の必要性等に関すること

特定技能試験又は日本語試験の国内試験に合格したとしてもそのことをもって「特定技能」への在留資格変更の許可を受けることが保証されるものではなく、外国人のこれまでの在留活動の状況や在留の必要性等を考慮した上、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限、許可がされます。

〈相当の理由があるとは認められないと判断される具体的な例〉

「退学・除籍留学生」(所属していた教育機関における在籍状況が良好でないことを理由とするものをいい、所定の課程を修了して卒業した者を含まない(在留資格「留学」に応じた活動を行わないで在留していたことにつき正当な理由がある場合を除く。)。)
「失踪した技能実習生」(在留資格「技能実習」に応じた活動を行わないで在留していたことにつき正当な理由がある場合を除く。)
「短期滞在」の在留資格を有する者
活動計画の作成が求められるものであって、その活動計画の性格上、他の在留資格への変更が予定されていないもの(※1)、又はその活動計画により、当該活動終了後に特定の在留資格への変更又は在留期間の更新が予定されているもの(※2)

(※1)その活動計画の性格上,他の在留資格への変更が予定されていないもの

  • 「技能実習」(計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものを除く。)
  • 「研修」(計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものを除く。)
  • 「特定活動(日本の食文化海外普及人材育成事業)」(計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものを除く。)
  • 「特定活動(特定伝統料理海外普及事業)」
  • 「特定活動(製造業外国従業員受入促進事業)」
  • 「特定活動(インターンシップ)」

(※2)その活動計画により、当該活動終了後に特定の在留資格への変更又は在留期間の更新が予定されているもの

  • 「特定活動(外国人起業活動促進事業)」(計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものを除く。)
  • 「経営・管理(外国人創業人材受入促進事業)」(計画の途中にあるものに限られ、当該計画を修了したものを除く。)



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